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生コンクリートの検査

1. 検査

(1)責任区分別

生コンは、時間とともに品質が変化するため、生産者・購入者はそれぞれが図-2に示す実施者(責任区分)に応じ、検査を実施している。なお、荷卸し時の検査は、実施者(責任区分)は異なるが、図-3に示す判定基準は同一である。

図-2生産者・購入者の責任区分別検査内容

※建築構造物

図-3荷卸し時の品質判定基準(JIS A 5308)

(2)プロセス別

生産者・購入者が行う各プロセスにおける検査の詳細は、図-4に示すとおりである。

図-4生産者・購入者のプロセス別検査内容(生産者:JIS A 5308・JIS Q 1011 購入者:JASS5)

2.生産者の品質検査

生コン工場では、製造する若しくは製造した製品(生コン)の品質が目標値となるよう、使用材料の受入から、製品(生コン)の納入に至るプロセスを管理している。

しかし、いかに入念な管理を行っても、偶然の要因によって品質が変動することは避けられないため、あらかじめ、偶然の要因による変動を予測して、この変動が生じても目標値を満足するよう、配合設計を行っている。

また、製品(生コン)の品質が配合設計で目標とした品質か否か、品質の変動が予想した許容値内にあるか否かを日々、管理している。

これら管理するプロセスを生コン工場では時系列に、

  • 受入検査:製品(生コン)に使用する材料の品質管理
  • 工程検査:製造する若しくは製造した製品(生コン)の品質管理
  • 製品検査:納入する製品(生コン)の品質証明

とし、プロセスごとに図-4に示す検査を実施している。

*製品(生コン)の強度とは?

コンクリートの強度検査には、生産者が行う工程検査・製品検査、購入者が行う受入検査・構造体コンクリートの強度検査がある。

表-2に示す通り、それぞれの実施者・検査名・目的が異なり、生産者が工程検査で行う強度以外は試験した時点で合否が判定できる。

表-2生コンの強度検査の目的

実施者 検査名 目的
生産者 工程 製造する生コンの品質管理
製品 納入する生コンの品質証明
購入者 受入 使用する生コンの品質確認
構造体 構造体に打ち込まれたコンクリート強度の判定

では、生産者が工程検査で行う強度の合否は何をもって判定するかというと、工程が安定状態にあるかどうかをもって、判定する。

この目的を達成する有力な手段の一つが、管理図である。試験結果を管理図上に時系列に打点し、統計データ(平均値、標準偏差、変動係数等)、及び打点の傾向(+側又はー側への片寄り、連続した増加又は減少等)を読取り、工程が安定状態にあるか否かを判定する。

管理図の書き方として、はじめに特性の中心線(中心線は、特性の平均値)と、これの上下に許容される変動の幅を表す管理限界線(中心線から試験値の標準偏差の3倍)を引く。管理限界線をこのように引く理由は、平均値から標準偏差の3倍以上離れた試験値が得られる確率は極めて低く、0.0013×2=0.26%程度である。逆に言うと、母集団が偶然の要因のみで変動している場合、試験値が管理限界線を外れることはほとんどなく、管理限界線の外に出る試験値が得られた場合、偶然でない要因による変動が生じた(すなわち母集団が変化した)と判断し、原因を究明し対策を取る必要がある。