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生コンクリートの品質

強度

コンクリートの強度には、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度、疲労強度、付着強度などがあるが、一般的に強度といえば圧縮強度を指す。
コンクリートの圧縮強度は、JIS A 1132(コンクリートの強度試験用供試体の作り方)により作製した供試体を用い、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)により試験機で供試体に荷重(N)を加え、供試体が破壊する際の最大荷重(N)を供試体の面積(mm2)で除し、単位面積(mm2)当たりの圧縮強度(N/mm2)で表す。
JIS A 5308では、工場出荷時又は荷卸し地点で採取した供試体を20℃±2℃の水中で養生し、28日材齢の強度を基本(指定のある場合は購入者の指定した日数)としている。

スランプ・スランプフロー

コンクリートの軟らかさや流動性を測定する方法はいくつかあるが、その中で最も一般的で簡便な方法がスランプ試験(JIS A 1101 コンクリートのスランプ試験方法)・スランプフロー試験(JIS A 1150 コンクリートのスランプフロー試験方法)であり、JIS A 5308ではコンクリートの軟らかさや流動性の程度をスランプ値・スランプフロー値で表すこととしている。

いずれの試験もスランプコーンは同一で、上部内径10cm、下部内径20cm、高さ30cmの金属製の器具を用い、

  • スランプ試験:スランプコーンを引き抜いた後に最初の高さ30cmからどのくらい下がったか(スランプ値)
  • スランプフロー試験:スランプコーンを引き抜いた後にどのくらい広がったか(スランプフロー値)

を測るものである。

コンクリートのスランプ値・スランプフロー値は軟らかさや流動性の程度を示すが、同時に作業の難易の程度や材料分離に抵抗する程度を示すワーカビリティーも、スランプ・スランプフロー試験後のコンクリートの状態を観察すれば大体判断することができる。

空気量

AE剤、AE減水剤等によって、コンクリート中に多くの独立した微細な空気泡を連行すると、連行空気泡がコンクリート中でボールベアリングのように作用し、コンクリートのワーカビリティーが改善され、所要のコンシステンシー(軟らかさ)を得るための単位水量を減少させることができる。 また、連行空気泡が適当量存在すると、自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する働きをするとともに、自由水の移動を可能にするため、凍結融解の繰り返し作用に対する抵抗性が著しく増大する。すなわち、AE減水剤、高性能AE減水剤を使用し、単位水量の少ない、水セメント比の小さいコンクリートを使用すると、水密性の改善や中性化速度が小さくなるなどの効果がある。
これらのことから、JIS A 5308ではAEコンクリートと定められている。
一般的に空気量は3~6%程度を標準としているが、圧縮強度はほぼ空気量に比例して低下(空気量1%の増加に対して同一水セメント比の場合、材齢28日強度は4~6%低下)するので空気量の過多には注意する。

コンクリート中の空気量を測定する方法は、空気室圧力法(JIS A 1128 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法―空気室圧力方法)、質量方法(JIS A 1116:フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))、容積方法(JIS A 1118:フレッシュコンクリートの空気量の容積による試験方法(容積方法))があるが、最も一般的で簡便な方法が、空気室圧力法である。

空気室圧力法試験は、空気ハンドポンプで空気室内空気を高圧とした後、作動弁を開き、コンクリート中の空気と空気室内空気の圧力を一致させ、この時の圧力変化からコンクリート中の空気を測定するものである。

塩化物含有量

コンクリート中にある程度以上の塩化物が含まれていると、コンクリート中の鉄筋がさびやすくなる。また、塩化物が塩化ナトリウム(NaCl)であると、アルカリ骨材反応を助長する要因ともなる。
従来、塩化物含有量については、その塩化物が持ち込まれる主な原因となる細骨材(海砂)の中の塩分についてのみ規定されていた。しかし、塩化物は、細骨材(海砂)以外の練混ぜ水や混和材料など他の使用材料からも供給されるため、コンクリートの耐久性向上の要求に沿って生コンの塩化物含有量はコンクリート中に含まれる塩化物イオン量で規定されている。
JIS A 5308では、塩化物イオン量の限度を0.30kg/m3とし、購入者の承認がある場合には0.60kg/m3まで許容している。この値は、細骨材以外の材料からもたらされる塩化物イオン量を0.10kg/m3としたとき、細骨材の塩分(NaCl)の規定0.04%と0.1%にそれぞれ対応したものである。

出典:㈱セメント新聞社発行:営業マンのための分かりやすい“新”生コン知識
   ㈱セメント新聞社発行:コンクリートの試験方法